River in the Morning

川面にたちこめる朝靄。色が失せ、グレイに染まる風景。 心の原風景のひとつ。そんなものに、私はなりたい。

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Hold Up、と言って笑顔を消した。

「何の冗談?」

普段よりも数倍刺々しい声。当然ながら、彼女はずいぶんと怒っているらしい。
切れ長の目はこちらを睨んではいるが、そこに込められた感情の中には、怒りや敵意よりも、戸惑いが大きいように見えた。

「残念ながら冗談じゃあないな」

今まで見たことのない、青ざめた表情。
いつも泰然自若とした態度を崩さない彼女のそんなカオを見ることが出来たのは、役得か。
顔色は蒼白なまま、それでも彼女は常のように腕を組み、笑みを浮かべて見せた。

「馬鹿なことを・・・それ、偽物でしょうどうせ」

「さあ。どうだろうな?でも、俺んちの家業は知ってるだろ?」

彼女も、やつらと一緒に先月家に来たのだから。知らないとは言わせない。
手の中の黒光りするものを構え直す。
わざと音を立てたのは、彼女の強がりを崩して危機感を煽るためだ。
どうせやるなら、精々怯えてもらわないと面白くない。
案の定彼女は、珍しく真面目な表情の俺の様子に、眉をひそめ、唇をかみしめた。
それでも気丈な態度を崩さないのも彼女らしいけど。

「あんたのお兄さんは、堅気には手を出さないとか言ってたけど?」

ま、例外もあるってことで。

「無理すんなよ・・・声が震えてるぜ?」

言いながら、一歩距離を詰める。
彼女は後ずさりしようとして、すぐに棚にぶつかった。
自分の背後に何があるかも忘れてるなんて、よっぽどテンパってるな。
見慣れた教室の中で、クラスメイトに拳銃向けられるなんてことになったら、まあ普通の人間はそうなるだろうけど。
ゆっくりと近づく俺に対して、彼女が出来る抵抗といえば横に逃げることだけ。
だが、壁に対して斜めに立ってる俺から逃げようとすれば、窓側にしか逃げられない。
結果的に教室の隅に追い詰められた彼女の額の真ん中に、狙いをつけた。
彼女の身体は小刻みに震えている。
俺はことさら優しくみえる笑顔を作った。

「大丈夫・・・一発で終わらせてやるよ」

「ちょっと・・・待って・・・」

「じゃ、」

引き金を引く。派手な、乾いた音が響いた。
彼女は悲鳴ひとつあげず、とっさに目を閉じたそのままだ。
眉間には盛大に皺が寄っている。

「・・・ぷ」

耐えきれずに吹き出すと、彼女がゆっくりと目を開けた。

「・・・え?」

「はは、すっげぇ間抜け面!イーもんみたぁ!」

彼女は信じられない、といった顔で、目の前にぶら下がった垂れ幕を見つめている。

「手間かかったんだぜ?この仕掛けすんの」

俺の手の中のモデルガンからぶら下がった白い布。
それに書かれた文字は 「 Happy Birthday 」。

「先月聞いたリクエスト通り、『心の底からびっくり』させてやったぜ?」

どうだ、といつもの笑みを浮かべた俺に、彼女は。

「・・・この、・・・ああもう!やられた・・・」

腰が抜けたのか、崩れ落ちた。



僕らなりのハッピィバアスディ


その後、ケーキを驕らされた上に延々文句言われ続けた。
「あんた最低よ、タチが悪いわ」
「お前の危険物入りケーキよりゃ、実害がない分可愛いもんだろ」
「辛いもの好きなあんたのためにタバスコ入れてあげただけじゃないの」
「好みの、食、べ、物、っつったろーがよ」
「食べられる物しか使用してないわよ」
「自分でも食えないもん食べ物って呼ぶな」
でもま、こんな関係なのが楽しいんだし?
また来年もやってやろうか。





高校生くらい、のつもり。
恋人ではなく、悪友。
男女間でも親友になれると思ってます。

隠れテーマは、擬音を使用しないこと。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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コメント

びっくり!

面白い・・・(笑)
最初はちょっとびびったけど、
よかった。
ハッピーエンドで?!(笑)

「男女間でも親友になれる」嬉しい言葉です。

  • 2007/09/04(火) 11:04:44 |
  • URL |
  • クローバー #-
  • [編集]

びっくりさせた!

人を驚かすのは好きです。弄るのも好きです。
でも、弄られるのも好きです。
そんなノリです。

面白がって頂けたなら幸いです。
でも、4月1日にするべきだったかとも思います。

  • 2007/09/04(火) 18:48:17 |
  • URL |
  • 裕 #-
  • [編集]

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